
納経帳

「十善戒」と「三信条」
「十善戒」とは:身(からだ)と口(くち)と意(こ
ころ)の働きを正しく保ちながら生きて行くことを
誓うもの→弘法大師はこれらの善行を積めば幸福に
なれると教えている
一、不殺生(ふせっしょう)
殺生しない、全ての命を大切にする
二、不偸盗(ふちゅうとう)
ぬすまない、物を盗
んではならない
三、不邪淫(ふじゃいん)
邪淫しない、不適切な
性関係を結んではならない
四、不妄語(ふもうご)
嘘をついてはならない
五、不綺語(ふきご):
不必要に飾った言葉を使わ
ない
六、 不悪口(ふあっく)
悪口を言ってはならない
七、不両舌(ふりょうぜつ)
二枚舌を使ってはな
らない
八、不慳貪(ふけんどん)
欲張らない
九、不瞋恚(ふしんに)
怒ってはならない
十、不邪見(ふじゃけん)
良くない考えを起こさ
ない
「三信条」とは:実際のお遍路で、心にかたく信じ
ておきたい三つの事柄を示している
一、摂取不捨(せっしゅふしゃ)のご誓願を信じ、
同行二人の信仰に励む。:摂取不捨とは「生きている
ものすべてを救い上げる」という意味であり、弘法
大師はけっしてわれわれを見捨てないことを信じて
祈りをささげること
二、何事も修行と心得て、愚痴、妄語を慎む。
三、現世利益(げんせりやく)の霊験を信じ、
八十八使の煩悩を消滅させる。
「現世利益」は
お金儲けや出世など世俗的な欲望ではなく、息災や
長命などこの世で受ける「仏の恵み」を指す
・知っておきたいおへんろ言葉
・打つ:札所を巡礼すること。昔は木札に名前を書
いてお寺の柱などに打ち付けたことによる。
・納経:もともとは写経を納めること。お経をあげ
て参拝することを指す
・発願(ほつがん):最初の札所を打つこと
・結願(けちがん):八十八ヵ所すべて参拝し終える
こと
・通し打ち:八十八ヵ所の札所すべてを、一度の遍
路旅で巡拝すること
・順打ち:番号順に札所を参拝すること
・逆打ち:番号と反対回りに参拝すること
・お接待:地元の人々が、食事などで遍路をもてな
す習慣
・ご詠歌:読経の最後に謡う和歌。経文読経と同じ
功徳があるとされている。